吹抜けとは?間取りと空間にもたらす魅力
吹抜けは、家の中で上下の空間をつなぐ開放的で立体的な仕掛けです。
間取りを眺めてあれやこれやと悩んでいると、どうしても平面的な思考になりがちですよね。そんな中で吹抜けはただ明るさを家の中に取り入れるだけでなく、住まいに独特の開放感という魅力をもたらします。
設計者目線でもやはり立体的な空間演出を使いこなせるかどうかで、空間の価値を高められる設計者なのか、そうではないのかに分かれるという面もあります。(もちろん与条件次第で意図的に吹抜けつくらないケースも多いですけどね。)
ちなみに吹抜けをつくらない場合は、立体的な演出をしようとすると天井を折り上げたり、床を掘り下げたり、2階建て以上であれば階段を演出したり、などを検討することになります。話が逸れますが、階段は唯一絶対的に吹き抜けになっている空間なので、結構演出しがいがあるところなんですよねぇ。
吹抜けのメリット
さて、ぱっと見ただけでも魅力的に見える吹抜け空間ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
明るさと開放感
吹抜けの最大のメリットは、何と言っても明るさと開放感です。大きな窓から光が降り注ぎ、部屋の大きさ以上に広々とした感覚をもたせることができます。明るい空間は単純に人の心をポジティブにして、健康的な生活をサポートすることにもつながると思います。
家族間のコミュニケーションが取りやすい
また、吹抜けは家族間のコミュニケーションを取りやすくする効果もあります。2階にいる家族と1階にいる家族が視覚的につながることで、家族の絆を深めることができます。
ちなみに、必ずしも吹抜けを介して直接会話したり、顔を見たりするする必要はないと思います。「なんとなく違う階に人がいる気配が、お互いに感じやすくなること」もコミュニケーションのひとつと言えるのではないでしょうか。
吹抜けの多様なデザイン例
吹抜けと聞いて一番最初にイメージするのは写真のようなリビング吹抜けですよね。リビングの一角に吹抜けを設けることで、リビング全体がより広く感じられるようになります。
実際に私も吹抜けを活用して様々な演出を試みてきましたが、リビング吹抜けの次によく検討していたのはこちらのような玄関吹抜けです。
吹抜けのデメリット:知っておきたい実際のところ
さて、いいことづくめのように見える吹抜けですが、実際のところデメリットはあるのでしょうか。
冷暖房の効きにくさ
吹抜けの大きなデメリットとして、冷暖房の効きにくさがあります。暖かい空気は上に上がってしまうため、特に冬場は下の階が寒く感じられがちです。これを解決するためには、シーリングファンや空調の工夫が必要になります。
建築費への影響
吹抜けをつくるのはお金がかかるんです…。大きさにもよりますが、経験上は、数十万円以上の費用増は想定しておいた方がよいと思います。
単純に吹抜けをつくるための高所作業の手間代という面もありますが、大体は吹抜けを入れることでサッシの枚数も増えますし、建築面積が大きくなるので基礎や屋根の面積も大きくなってしまうんですよね。。。
メンテナンスの大変さ
吹抜け部分の窓掃除など、メンテナンスが大変な点もデメリットの一つです。高さにもよりますが内部足場が必要になったり、安全対策も必要になり、業者に依頼する場合は予想以上に費用がかかる可能性もあります。
安全性の確保
安全性の確保も重要なポイントです。特に小さなお子さんやペットがいる家庭では、落下防止のための手すりの設計に注意が必要です。
吹抜けを間取りにうまく取り入れる秘訣とは?
メリットもデメリットもある吹抜けですが、どうすればうまく取り入れることができるのでしょうか?
その秘訣は2つあると思っています。
一つ目は、敷地条件による吹抜けの必要性の検討です。接道方向や周辺の建物状況などによっては、単純に家を建てただけでは暗いリビングになってしまう場合があります。そんなときには吹抜けを取り入れることで光を導くことができます。このあたりは設計者の腕の見せ所ですので、依頼する住宅会社や設計事務所の担当者とよくよく相談しましょう。
もう一つは、当たり前で単純ですが、自分にとって本当に吹抜けが必要なのかをよく考えることです。
そのためには記載したようなメリットとデメリットをしっかり理解した上で、可能な限り早い段階から自分の理想の家のイメージをしっかりと固めていくことが大切です。
家づくりを進めていく過程では、吹抜け以外にも色々な選択をしなければなりません。自分がどんな家に住みたいのか、どんな生活が自分にとっての理想なのか…。それを知らないことには、判断軸をもつことができず、取捨選択ができません!
理想の家のイメージのもち方はこちらの記事を参考にしてください!
しっかりと理想の家のイメージを固めた上で、「解放感」や「家族の絆」などが自分にとって優先度が高いキーワードだと思うのであれば、積極的に吹抜けを取り入れましょう!
まとめ
吹抜けは、家に明るさと開放感をもたらし、日常生活に豊かさを加えてくれます。しかし、デメリットも理解し、自分にとって本当に必要なのかどうかを十分に検討することが成功の鍵です。
冷暖房の効率を高める工夫、メンテナンスのしやすさ、安全性の確保などをクリアできれば、吹抜けのある家は、ただの住まいではなく、家族の絆を深め、日々の生活に彩りを加える空間となるはずです。
専門家としっかりと話し合い、家全体のバランスを考えること。そして、何よりも家族の幸せを最優先に考えた空間作りを心がけてください。吹抜けのある生活は、きっとあなたの生活を豊かに彩るものになりますよ!
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